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第8話 漁港の町ベルルン
「ヴァリウス、陸地が見えてきたぞ!」
ルシカとヴァリウスの乗る小舟の前には海と陸の境界線が見える。
「ルシカ、今の方角の少し西に港がみえるだろ、あれが漁港の町ベルルンだよ」
「もうすぐ到着だよな?」
「うん、ルシカにはコソボ以外の初めての世界を見ることになるからね」
小舟は静かに港に錨を下ろす。
~漁港の町ベルルン~
貿易を中心に発展する町、ドレカニア大陸の南の玄関と呼ばれている。
「ヴァリウス、この町ではどうするんだ?」
「大陸を北に向かって進んでいく予定だから食料調達と情報収集かな」
「俺もどっちか手伝うぞ」
「ルシカには食料調達を頼もうかな、余った時間は町を見て回るといいよ」
「じゃあここにもう一度、集合な」
ルシカとヴァリウスは別行動で各自の用件を済ませに出掛けることにした。
食材屋はすぐに見つけることが出来た。
「いらっしゃい、何にする?」
「旅の食料調達なんだ」
「何人で、どれくらいの日数を旅するんだい?」
「しまった!聞くの忘れた・・・わかんねぇ、2人だけど」
「ははは、そうかい・・・じゃあ少し多目に用意しておいた方がいいね」
ルシカは店の店主に任せて食料を選んで貰い、店を出た。
「まいどあり!」
店の前の大通りには人だかりが出来ていた、ルシカは人の群れの1人に聞いてみた。
「どうしたんだ?」
「総督府の紛争復興官長:アレクセイさんが仕事帰りに寄られたそうだ」
群集の中央には警備兵に囲まれる中年の男がいた。
アレクセイ・ドリュー・・・45歳。180cm、74kg。軽鎧といわれる緑色の動きやすい鎧を着た温厚そうな性格の男だ。
「アレクセイさん!お帰り!」
群集の出迎えの声にアレクセイは片手を上げて応えた。
「へぇ・・・ヴァリウスの話では関わるなっていうからどんなヤツらかと思えば結構、人気あるんだな・・・」
ルシカは人の群れを後にして、町の探索のため、路地に入ってみた。
複数の男が1人の女性を取り囲んでいるところに遭遇した。
「姉ちゃん、俺達と遊ぼうよ・・・」
「いやです・・・」
「そう言わず、来いってんだよ!」
バキッ
ルシカの殴打で男の1人が吹っ飛ぶ。
「嫌がってんだろ、やめろよ」
「誰だ、てめぇ!俺達がバリルさんの一味だと知っててやってんのか?」
「やべぇ、関わっちまった」
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