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「よう、お隣さん、よろしく」
ルイスはこの後の予定も無いので帰路につこうと椅子から腰を上げようとしたところで声を掛けられた気がしたのでそちらに顔を向けると、体ごとこちらに向いていた男子生徒と目が合う。
「ああ、こっちこそよろしく、カーター。」
「おお、名前覚えてくれてたのか。でもマリクでいいぜ。」
「分かった、俺もルイスでいい。」
「おう、で早速だがルイス、この後予定あるか?」
「いや、特に無いから付き合うよ。」
「おお、話が早い。じゃあ、一緒に昼飯食べてこうぜ。つっても連れがいるんだがいいか?」
マリクと話しているとマリクに声が掛けられた。二人がそちらを見て、マリクはその声に応えた。
「よっ、カイ。ルイス、こいつがその連れのカイだ。」
「ルイス・ウィリアだ。ルイスでいい。よろしく。」
「僕はカイ・レイナード。僕のこともカイでいいよ。よろしく、ルイス。」
カイとも挨拶を交わし三人は校舎を出る。そして校門への道中に人垣が出来上がっていた。
「お、なんだありゃ?」
初めに声に出して反応したのはマリク。そしてそのまま人垣に突っ込んで行く。それを見てカイは溜め息を吐く。
「まったくマリクらしいけど…。
でも何だろうね、あの人垣。」
「まあ、予想はつくけどな。」
首を傾げるカイにルイスは呆れた声で返す。だがカイはよく分かっていないようでまた首を傾げる。
「カイは高等部からここに来たのか。」
「あ、うん、そうだよ。マリクもそう。」
それを見たルイスは尋ねるというよりは確信を持った言い方で話す。そして案の定肯定が返ってくる。
「なら、分からなくても仕方ないか。あの人垣はサラ・ハーミットとミラ・ノーラスによるものだろう。毎年というか日々あんな感じだ。」
「へ~そうなんだ。二人共大変そうだね。というかルイスはあの二人と同じ中学なんだね。」
「俺もあの二人もこの学園には初等部からいるからな。そしてあれは初等部からあった。」
ウィリアム学園は初等部、中等部、高等部と同じ敷地内にある。そのためルイスにとっても見たことのある顔が多いのだ。そして彼女達が人の目を惹いているのはそれこそ昔からであり、今となってはこの景色も慣れたものである。
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