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「あれ?でもナーディ先輩もハーミットさん達みたいにならないの?」
カイが疑問を投げ掛ける。エリスもサラ達のように取り巻きがいるのではないか、ということだろう。彼女の家、ナーディ家も特級貴族であるからだ。
「会長は誰にでも気さくに話し掛ける人だからな。まあ…あんな感じになる。」
『馴れ馴れしい人』と言いそうになったがそこは抑えて説明するルイス。
「会長ならお近づきになれるかもしれんぞ。」
人の悪い笑みを浮かべながらルイスはマリクに告げる。
「ちょっと待ってくれ。お前の中での俺の印象がおかしいぞ。別に俺はそういう意味で言ってるわけじゃないんだが……」
マリクの抗議を受け、ルイスは少し大袈裟に頷きながらーー相変わらず人の悪い笑みのままーー言葉を返す。
「ああ、分かっている。ただ仲良くなりたいだけだろう?」
「まあ……そんな感じなんだが本当に分かってるか?」
「心配するな。女の子と仲良くなりたいんだろう?」
「いや……えーと……だからな……」
「友人という意味で仲良くなりたいんだろう?分かっているさ。」
口が開いたがそこから言葉は出ずぱくぱくさせた後マリクは盛大に溜め息を吐く。
「人が悪いな、ルイス……」
「よく言われるな。」
マリクの苦言をさらっと流す。
「あんまりマリクをいじめないでね、ルイス。」
そこにカイが入ってくる。先程までのルイスと同様の人の悪い笑みを浮かべて。
「僕もマリクをいじめたいから。」
そう言ってにっこりと微笑むカイにマリクの表情が固まる。
「なるほど、そういうことなら了解だ。」
ルイスが応じてマリクは最早諦めの境地になったのか再び盛大な溜め息を吐いた。
「もう好きにしてくれ……」
幸か不幸かマリクの呟きは丁度料理が運ばれてきてそちらに対応していた二人には聞こえなかった。
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