75人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
それから俺達は少しずつ仲良くなっていった
折り紙の折り方を教えてもらい
何度も挑戦した
だが不器用な俺は「一番簡単だから」と女の子が言うツルすらまともに折れなかった
「また失敗だ…」
はぁ…と溜め息をつく俺に女の子は優しく微笑んで「これあげる」とチューリップの折り紙をくれた
「ありがとう!やっぱり上手だね!」
「へへっ」っと女の子は照れくさそうに頬を指でかいた
そして入院して三日目、俺の退院の日が来た
「また会いに来るからね!」
そう言って俺は母と病院を後にした
今思えば何で名前くらい聞かなかったのか…
お互い呼び合うこともなかったし
自己紹介すらしなかった
退院してから一週間
女の子に会う為に俺は病院に行った
しかし女の子の姿は無く、看護婦さんに聞くと昨日退院したと言う
それ以来あの女の子には会っていない
残ったのはチューリップの折り紙と寂しさ、そして恋しさだけ
これを恋と言うのかはわからない
でもおそらく俺はあの女の子が好きだった
最初のコメントを投稿しよう!