身の上

6/9
前へ
/20ページ
次へ
 お姉ちゃんと再会してから1ヶ月後。  「行ってきます」  屈託なく笑う私は、母に告げる。  「いってらっしゃい」  無理やり笑顔を浮かべる母。  「……行ってきます」  お姉ちゃんの無愛想な挨拶。  「いいいいってらっしゃい」  びくびくしながら、挨拶する母。  私達は2人で高校に通う。お姉ちゃんも、私と同じ高校1年生として。  少しだけふっくらしたお姉ちゃん。本当の家主として、元気が出て来たらしい。  「まだ、許すつもりは無いわ。でも、家を返してもらった事くらい、あんたに恩を感じてあげる」  知ってる。お姉ちゃんの気持ちがこれで済まない事、くらい。でも、当分は、両親も私に干渉して来ないし、お姉ちゃんにも何もしないだろう。  何より、お姉ちゃんがいる事は、私が助かる。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加