特別室

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 都内某所から車を走らせる事、およそ1時間。目を閉じっぱなしのお嬢様は、どこに連れられるか解らないまま。  「もう間もなく到着しますが、私が良い。と言うまで目を開けないで下さいね」  「ええ、解ったわ」  ずっと目を閉じていても、眠る事の無かったお嬢様は、執事のオーナーに理解ある態度を示す。  目を閉じているお嬢様には、時間の感覚が無いけれど……  こんなに遠い気がする所まで車を走らせるという事は、もしかしたら、執事の家かしら。  という期待に胸を膨らませても、仕方がないのかもしれない。そんなお嬢様の気持ちを知ってか知らずか、オーナーのハンドル捌きに迷いは無い。  やがて、オーナーの車は道沿いに、塀が長く続いている場所へと出た。
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