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今、帰って来られたお嬢様以外、店にお嬢様は居ないようで、直ぐにオーナーは現れそうだ。
しかし、お嬢様に何も出さないうちに、オーナーが登場しては、見習い君達が馘になってしまう。
甘酸っぱいベリーをご所望のお嬢様に、先程お嬢様を案内した優しい顔立ちの執事見習い君が、やって来た。
ワゴンの上には、木苺のタルト。シルバーのカトラリーは一点の曇りも無い所から、丹念に磨かれた一流品であるようだ。
木苺のタルトに良く合うニルギリの茶葉を入れて一気にお湯を注ぎ、茶葉をジャンピングさせる。これが正しい紅茶の淹れ方だ。
甘酸っぱいということは、酸味があるということで。酸味がある木苺のタルトと、アイスティーに向く爽やかで甘みが残るニルギリは、組み合わせが抜群だ。
お嬢様は、少し苛々している様子だったが、この組み合わせで少し気持ちが落ち着いたのか和やかな顔をしている。
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