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それを見計らったかのように、ようやく彼……つまりオーナーが現れた。
坊主頭に燕尾服は、かなり目立つ格好に思えるが、なかなか似合うだけの二枚目俳優のような顔立ちをしている。
オーナーが、お嬢様の横に立つと、お嬢様は待ち兼ねた顔をして、オーナーを見た。
「お待たせしまして、執事失格ですね、お嬢様」
「良いのよ。許してあげるわ」
「ありがとうございます。さて、お嬢様、本日は一体どんなお悩みが、お嬢様の胸を煩わせていらっしゃいますか」
静かに話し始めて誘導をするその姿は、堂々としていて、流石年季が入っているものだ。
つまり、他人……この場合、お嬢様のお悩み相談まで引き受けるのがこの店の特徴で、かつ、それをやっているのが、オーナーのみだった。
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