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講義が終わり、帰路に着く。今日の酷い有様だ。こんな所を見ても誰も声を掛けてくれないのか。本当の透明人間みたいだな。
路地に入ると、見られない出店があった。朝はこんな所にはなかった。店の看板には「占い」と解り易く書いている。近づいてみると、海老の様に曲がった背中をしていて、丸い眼鏡を掛けていた老婆がいた。老婆はまるでこの世の人間ではないような風格がある。長年占い師をやっているからか?ただ独特のオーラか、真偽はわからない。
「そこの人待ちなさい」
老婆が話しかけてきた。まるで僕がここに来ることに知っていたような落ち着きぶりだ。
「なんでしょう?」
「貴方、辛い悩みがありますね?この世から消えたいと思っている、辛いことだ。そこで、私からお届け者があります」
そういうと老婆は透明な小瓶を取り出した。中には透明な液体が入っている。
「水ですか?」
「透明人間になる薬でございます。それは差し上げます。使用の際は底に張り着いている説明書をご覧ください。そのあとは、貴方が決めることです」
そして僕は占い師の老婆から透明人間になる薬を受け取った。僕は老婆から、透明人間になる薬と聞いた瞬間から、飲むことを決意した。
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