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――腕と足だけが 使えなくなったのではない。 歌姫と言われた、唯一 自慢の声すら何らかの影響で出なくなった。 男は私が口を聞きたくないのだろうと思っているのか、話かけて来なくなった。 (………声が出ない…私はもう……歌えないの?…) セシルは歌えなくなる事が怖くなり、泣き出してしまった。 (…っ!!…うッ……) ポタッ…ポタッ (……もう嫌だ……帰りたい…お母さん…) その日の夜から男は食事すら持ってこなくなった。
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