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108…108教室は…と、ここか。
あたしは天井付近にある教室の番号が書いてあるプレートを確認する。
「…ここが、フリー部の部室…か。」
中からは賑やかな声が聞こえる。
けど、この空気凄く入りずらい。
昔からこういう場面に遭遇すると、必ずと言っていいほど自分から入ることができない。
まぁ、簡単に言えば、勇気がないとも言えるが。
そんなこと今はどうでもいい、とにかくここに入らないと見学も体験もできないわけで。
時間だけが過ぎていくこととなってしまう。
そんなことになるのだけは絶対嫌なので、あたしは深呼吸をする。
そうだよ、まずは深呼吸だよね、うん。
自分に言い聞かせながら深呼吸をし、ドアに向かう、が。
…ダメだ。
いざドアの前に立とうとすると、そこから進めなくなる。
「はぁ…。」
あたしはため息をつき、108教室のドアから少し離れた場所に立った。
そこに立つとちょうど教室の中が見える。
中では先輩たちが仲良さそうに何か話している。
…あの輪の中に自分が入っていけるとはとても思えないな。
本当にあたしなんかがこんな楽しい部活に入部していいのかな?
だからと言って、ほかに入りたい部活もないしな…。
どうしようもない。
あたしはしばらく教室に入る勇気が出せなくて、じっと教室の前で固まっていた。
やばい、このままじゃ部活の活動時間終わるんじゃないかと思うほどに焦る。
どうしよう、いい加減入らないと…会話にもついていけなくなっちゃうよ。
ハラハラして俯けていた顔を上げると、教室の中にいる1人の先輩と目があった。
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