Betrayer

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12月の雪が降りしきる寒く静かな夜、街は窓から漏れる光でボンヤリと照らされていて、どこか幻想的とも言える雰囲気に包まれていた。 そんな淡い雰囲気の街の裏路地を、一人の青年が歩いていた。 「……流石は12月だ、寒いな」 青年は頬に刺青をしていてまだ10代前半といった感じであった、そう、彼は魔学を付け狙う悪党集団のメンバーの一人。 『ヴィーノ』であった、ヴィーノは冷えて赤くなった両手に自分の息を吐きポケットに突っ込み、夜空を見上げ白い息を吐きながら呟く。 「チャッキーさんに無理矢理チームに入れられ早1年目か……、殺人からはもう足を洗おうと考えてたんだけどなあ……」 そんな事を呟きながらため息を吐く、ヴィーノの吐いたため息は白い煙となり夜空にぼんやりと溶けて無くなる。 そんな様子を見ながらヴィーノはまた呟く。 「そういや明日はアンジュに血を飲ませてあげる約束をしてたっけ……、ああ……また貧血覚悟で行かないとなあ……」
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