紅い眼の男

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 本が好きになったのはいつからだろう…曖昧で覚えていないが多分幼稚園児の時だと思う。あのころは絵本が好きでよく読んでいた。とくにファンタジーの可愛らしい絵であるウサギの本だ。元々、親が作家だったために家には本がよく転がっていて、溢れかえっていた為そのせいでもあるのだが…物心がついたときはもう毎日夜更かししてまで読むようになった。  沢山本など買えるお金をもっていないので、ほとんどが図書室や図書館で借りる毎日だ。  中学の時はライトノベルや携帯小説などもよむようになり、更に本を読む機会が増えた。そんなに読むなら文芸部とかに入ればいいのに…と涼花に勧められたが、その誘いは断った。  あくまで自分の好きな作品を自分のペースで読みたかった、それを部活動にしたくなかった…という。それに、文学少女という風にみられるのが嫌だった。根暗であまりしゃべらない、っていう風に思われたくなかった。だから学校で読んだ回数は、片手で足りるくらいだ。  学校では一切読まない、絶対一人の部屋で自分のペースで読む。これが唯一の楽しみだ。  本のおかげでストレスも溜まらないし、一石二鳥という感じだろう。  だけどお母さんには心配された、毎日毎日狂ったように本を読む娘…心配されるのも無理はない。正直自分でも自分が怖いと思った時期はあった、だけどそんなのは何処かに吹き飛んだ。  そんなこんなで今に至る。  救いなのが、目が悪くならなかったということだ。毎日暗い場所で本を読んでたのに視力だけはいい、視力検査両目とも1.5以上だ。
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