紅い眼の男

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 授業が終わり、私は食堂へと向かう。  ここ、私立霞の丘高校は9割が女子が占める女子高に近い共学だ。毎年のように男子はここに来たがるが…それは無理だ。それは校長自身、男子恐怖症というよくわからない持病があるから。話によると、性欲むき出しの男子を見ると蕁麻疹がでるとか…。  なのでここにいる1割の男子は純潔で紳士的だ。その代わり、彼氏も彼女もできないということなのだが…まあそれは伏せておくことにしよう。 「憂衣、今日はいつもよりこっぴどく叱られたね…」  そう言ってきたのは私の親友(自分はそう思っている)である宮野涼花だ。  成績優秀、文芸部所属、顔だちはおっとりとしているが口元はキリっとしたお嬢様のような雰囲気。そんな彼女とは中学から一緒の腐れ縁である。 「まあ、あんなに怒るとは予想外だったよ」  私はおどけた風に涼花に返した。いつも温厚で怒らない先生を怒らせたのだから、それは凄いことだ。流石に私自身反省してる。いくら昨日寝るのが遅かったからって、授業中二度寝はない。  私は自分のローファーを見つめ落ち込んだ。 「まあそんなに気を落とさなくても!今日は午前中で授業終わりだしさ、どこか寄って帰ろうよ。そうすれば嫌な気持ちも吹き飛ぶと思うよ」  今日の午後予定していた授業は、先生が用事ができ授業がなくなった。つまり、午後の授業が無くなったのである。 「じゃあどこに寄っていく?いつものファミレス?」
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