10人の紅基地~first~

紅い眼の男

「ファミレスじゃないわ、実は最近噂になっている文具店にいこうと思うの」

　文具店？そもそも買うものもないし行っても仕方がないのだけれど…その噂っていうのが気になる。噂になるほどなのだから、よっぽどいい文房具でもあるのかな。

「噂ってどんな噂？いい文房具が揃っているみたいな感じ？」

「それが違うのよ。その噂っていうのはね…」

　涼花はここで一旦溜めた、そしてこう続けて言った。

「その文房具の店員さん、爽やか系の男の人なんだって！しかもちょっとカッコいいらしいのよ」

　ああ…成程、そういうことか。別に文房具云々の話ではなかった。店員の見た目？爽やか系？ちょっとカッコいい？
残念ながら私はそういうのには疎く、かっこいいと聞くと自分のために何かをしてくれる…とか、他の人のために自分の身を削るひととか…そういうのにときめく。だから見た目より中身だと思ってしまう。

　よく皆、容姿より中身だ！とか言っているけど涼花を見てみよう。所詮女子などは最初見た目から好きになり、性格などは二の次なのだ。

「涼花さ、そんな容姿ばかりだけじゃなく中身はどうなのよ…その男」

「性格も温厚でとても気さくに話してくれるらしいわよ」

　らしい…って、結局は涼花自体も知らないわけか。噂なんてあんまりあてにならないと思う。

　そんな話をしていたら食堂についていた。今日も賑わっている。