紅い眼の男

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 今日の日替わりランチは「鳥のから揚げ」だ。別にダイエットもしてないし、脂っこいものでも食べれるのでそれに決めた。 「涼花は何を食べるの?」  そう言い、涼花のほうに目をやると涼花は一人椅子にすわってパックのジュースを飲んでいた。そして声をかけた私のほうを睨む。その眼には言葉以上の重みがあった。  成程…涼花はダイエット中というわけか。自分が食べられないからイライラしているんだ。だからといってそんなに睨まなくたっていいじゃない…。  私は、とりあえず食券を買い食堂のおばちゃんに渡す。 「あら愛衣ちゃん、今日も食堂なの?」 「はい、ここ最近は食堂ばかりです」 「そんな女の子なのに脂っこい物食べて大丈夫?愛衣ちゃん…私みたいな姿になっちゃうわよ」  そういいながら、おばちゃんは自分のお腹をポンと叩いた。苦笑。こういうときってそんな反応をすればいいのかイマイチよくわからない、大声でわらったら失礼だし。あえてスルーで…  鳥のから揚げなんて久しぶりだな。最近はお母さんも、私の体を気にして脂っこいものを作ってもらえなくなった。魚とか、サラダばかりだ。そんなに気にしなくてもいいのに…まあお母さんの気持ちも分からなくないけど…  お父さんのこともあるしね…。 「はいお待ちどう!」  そういいおばちゃんは鶏のから揚げランチを渡してくれた。
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