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先ほど小テストの点数が発表され、配られた一枚のテスト。
僕は容赦なくその紙をくちゃくちゃにして、ポケットの中にしまった。
その姿を見た僕の友人は、相変わらずだといいながらため息を吐いて答える。
「まゆみ、将来の事とか考えないの?」
「いいんだ。どうせ僕は高校卒業したら、家継ぐんだから」
「でも勉強して約に立つことだってあるんだよ?」
「……『役』ねぇ……僕の家ではそんなの役にたたないんだよ、紗代」
唯一色々と話せる友人――御堂紗代(みどうさよ)にそういいながら、僕は欠伸をした。
僕が学校に通っているのは、家族がうるさいから。
気まぐれの高校受験を受けて、どうしてか受かってしまった自分は、今つまらない高校生活を送っている。
いつものように勉強をし、楽しいことのない毎日の繰り返し。
唯一楽しいのは、こうして友人の紗代と休み時間に軽く会話をするのみ。
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