第00話 サクラメイキュウ

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 紗代は僕にとって、唯一の理解者である友人だから。  近くにある椅子に手を伸ばし座ると、紗代は僕に向かって答えた。 「じゃあまゆみは将来何になりたいのって言うのはなかったの?」 「……昔はあった。お花屋さん」 「へぇー……それいつの?」 「小学生の時かな……その時は結構花、好きだったから。将来はお花屋さんになりたいなんて言ったら、あのクソ親父に怒られた。『お前は華櫻の時期当主になる女なんだぞ!!』って平手打ちされて」 「……ごめん、もう何もいえないや」 「ああ、言わないで」  そう、そんな事を父に言っても、父は僕を『後継者』として育てた。 (そう……どうして、僕なんだろう?)  僕には兄が二人、姉が一人居る。  兄二人と姉の三人のどれかを選べばいいはずなのに。  それなのに、父と母は僕を『後継者』として選んだ。
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