0人が本棚に入れています
本棚に追加
紗代は僕にとって、唯一の理解者である友人だから。
近くにある椅子に手を伸ばし座ると、紗代は僕に向かって答えた。
「じゃあまゆみは将来何になりたいのって言うのはなかったの?」
「……昔はあった。お花屋さん」
「へぇー……それいつの?」
「小学生の時かな……その時は結構花、好きだったから。将来はお花屋さんになりたいなんて言ったら、あのクソ親父に怒られた。『お前は華櫻の時期当主になる女なんだぞ!!』って平手打ちされて」
「……ごめん、もう何もいえないや」
「ああ、言わないで」
そう、そんな事を父に言っても、父は僕を『後継者』として育てた。
(そう……どうして、僕なんだろう?)
僕には兄が二人、姉が一人居る。
兄二人と姉の三人のどれかを選べばいいはずなのに。
それなのに、父と母は僕を『後継者』として選んだ。
最初のコメントを投稿しよう!