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そして、嫌いになったものがたくさんある。
まずは両親と兄二人と姉。
嫌らしい目で見る親戚達。
極めつけは――僕の一族が守っている、霊力のある『桜』だった。
窓の外を眺めると、うちの近くに大きく立つ木が一本立っていた。
夏だというのに、散ることのない『桜』。
そしてあれが見えるのは、霊力を持っている者達のみ。
「どうしたの、まゆみ?」
「……別に」
当然、紗代にも見えていなかった。
僕は視線を逸らした後、携帯電話を開く。
時間を確認して紗代に向かって答えた。
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