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「…おはようございます」
ドキドキがハンパない。
恐る恐る職場のドアを開け、中にいる人たちに挨拶する。
職場の人たちはみな、私の方を見ることもなく
「おはようございます」
と、答える。
「…歩邑です。長くお休みをもらってしまってすみませんでした。本日から出社させていただきます」
誰もこっちを見てくれないまま、私がそう続けると、やっと上司がこちらを見てくれた。
「…あぁ、うん、…ん?…」
上司が返事に詰まった。
きっと私が歩邑だと…いや、ほむらだと気がつかないのだろう。
そう思った私はどや感に満ちあふれながら、颯爽と上司のデスクの前に立った。
「今日からまたよろしくお願いします」
そう言う私を、上司は戸惑いを隠せない表情で眺めている。
そうか、こういう反応も悪くない。
そう思ってにやけてしまった私を、次の瞬間上司が、どん底へと叩き落とした。
「あれ?ほむらさんは、自主退職したんじゃなかったっけ?」
「えっ?」
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