魔法学校は9月入学。

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「……で、もう一枚の紙にはなんて?」 「!!」 オレは立ち止まり、驚いて鉱輝を見る。 それからポケットの紙を一枚。 「……気づいてたのか」 「俺もボソッと言われたんだ。 『翔の紙を読め』とな」 「オレは『2枚目は隠せ』と言われたよ。 その内容は会長に問いただす必要がありそうだけどな」 鉱輝にその紙を渡し、オレは再び構内を歩く。 オレが在籍するオーディン魔法学校は、日本の大学に近いスタイルだ。 遊部は元会議室を間借りしているため、場所は旧教職棟だが、部室ばかりが並ぶ部活棟、生徒たちの集う教室棟、色々な授業に対応した講義棟……と全部で11の棟がある。 さらにコロッセウムやグラウンド、生徒寮などの施設を合わせて巨大な一つの集合体が学校となっている。 ちなみに生徒会室は教職棟なので、それほど遠くはない。 「なるほど、この内容はめちゃくちゃだな」 「……だろ?だからとっとと向かおう」 オレたちは歩くペースを速めた。 教職棟4階、生徒会室。 「会長が遅刻なんて珍しいどすなあ。どないしはったんどすか?」 副会長が資料を確認しながら、パソコンを叩いている会長に聞く。 「公用だ。許可は取ってある」 画面から一切目を離さずに答える会長に、器用にペンを回している庶務が食いついた。 「それはとっても気になりますねぇ。 私用じゃないなんて」 「教えるわけにはいかんな。 ……それより仕事をしろ」 「分かってますって。 でも、もうすぐ来るんでしょ、新入生が」 「確かに来たようだな。 だがそれとこれとは関係がない」 会長がエンターボタンを押して仕事を終えたとき、ガラガラとドアが開いた。 「ようこそ、オーディン魔法学校生徒会へ」 あごの下で手を組み、落ち着いた口調で述べる会長。 翔は他の役員に目もくれず真っ直ぐ生徒会長の机の前まで来ると、先程の紙を彼に突きつけた。
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