魔法学校は9月入学。

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会長の思惑通りになるのは気に食わないが、梨沙が困るしトドメ刺しとくか。 「まぁいいじゃねぇか。 オレ、鉱輝、魅世さんが入って部活動の許可もらったし、これ以上望むのは欲張りじゃねぇか?」 「……そやな。 とりあえず名前は載るから、それで体験入部に来てくれるかも知れんし」 「……あ、あぁ、そうだな……」 正直、遊部なんてネーミングの部に来る奇特なやつはいないと思うけど……。 「そういうフラグ立てると来るんだけどな」 「地の文に反応すんな!!! そして展開言うな!!!」 こんな風に、入学初日の放課後は過ぎていった。 いよいよ、明後日から授業が始まる。 教職棟4階、理事会議室。 そこには何人かの理事と一番上座に理事長。 彼は立っていて、今回の特別待遇児――駒田 翔について説明をし終えたところだ。 ちなみにこの理事長、『虹の戦士』の1人であり、この夏休みで翔と鉱輝に地獄の修行を課した人だ。 「……なるほど、つまり貴公は『Dragon Master』を囮にしてエデンの連中を一網打尽にしようとしているのか」 「それは少し語弊がありますな。 私は彼らにエデンと戦い、我が校を守る盾になってほしいだけですよ」 『ら』――複数系の部分を強調する理事長。当然そこに疑問を呈する理事。 「まさか君は学校の生徒を犠牲にする気か!?」 「保護者連中が黙ってはいないぞ!!」 「中央政府に露呈したらどうするつもりだ!!」 非難の嵐が吹き荒れるが、片手を挙げて制する。 「私が考えている生徒たちは自ら盾になるでしょう。 それに彼女たちの親はその程度のことで文句を言うような小物ではないと、資料の名簿から分かると思いますが?」 手元の資料を見て、納得したようなそうでないような顔をする理事たち。 資料のメンバーは全員、遊部の部員である。 「例え彼女たちが盾になって死んだとしても、あの方たちなら『弱かったから死んだ、それが本人の運命だ』などと言うかも……おっと、これは不謹慎でしたな」 「だが、そんな賭けのようなことをするわけには……」 「でしたら、ちょっとした実験をしましょうか。 この学校の危機に対して彼らが一体どう行動するのか」 理事長はもう一冊の資料を配り出した。
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