魔法学校は9月入学。

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家に帰ると夕飯の支度や洗濯などが待っている。 最近はある程度、人造人間メイドである律子がやってくれているのでずいぶん楽になった。 いつものように玄関を開けると、律子の「お帰りなさいませ」という言葉が聞こえ……。 「Youお帰りだYo!」 「……お、お帰りー」 「皆さんお帰りだねぇ。 学校はどうだった?」 居間から聞こえてきた3人の声に、オレは一瞬幻聴かと思ったが、居間を覗いて姿があることを確認した。 「なんでまだいるんだ……?」 修行は滞りなく終了し、彼らの用は無くなったはずだ。 「もうちょっとだけこっちに居ようかなって。 修行の仕上げもしないとだし」 こう言ったのは娘である魅世さんと同じ灰色の眼と茶髪を持つ、メガネがトレードマークの瀬崎 清秀(せざき きよひで)さんだ。 と言っても性格は魅世さんと正反対でとてもテキトーであり、なおかつ口調もかなりフレンドリーだ。 そのせいで瀬崎家の当主になれなかったのだが、本人は全く気にしてない。 「修行は仕上げで終わる♪ 城にはそれまで泊まる♪」 小学生レベルのラップを口ずさんでいるのは、清秀さんと同じ『虹の戦士』のゼロ・A・バース(ゼロ)だ。 いかつい顔――頬にバッサリと太刀傷まである――とは裏腹にかなり飄々とした性格である。 しかし強さは虹の戦士でも群を抜いていて、もはや人の強さではないらしい。 まぁ、魔法を一声で吹き飛ばす人だからな……。 「とりあえず食事の用意をしてくれんかねぇ。お腹がすいてたまらんのよ」 麗美さんを超える胸を持つ、美と治療の女神スヴェナ・H・シャルル(スー)さんが腹をさすりながら言う。 相変わらず大胆に胸を露出した格好だ。 目のやり場に困るからやめてほしい。 「スーさんはオレらの修行に関係なくないか?」 「うちはここに居たいからおる。 文句があるなら受けて立つけど」 「いや別に……気になっただけだよ」 「あ、そうそう、もうすぐフロストも来るから」 「全員揃うんかい!!!」 虹の戦士は6人。 うちの親父は行方不明、もう1人は死んでいるので、残るは我が校の理事長、フロスト・T・ウィリスさんのみである。 「それ以前に、あなたは瀬崎家に帰るべきじゃないんですか?」 梨沙が言うと、清秀さんは肩をすくめて言う。 「だって父さん怖いもん」 「子どもか!!!」
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