魔法学校は9月入学。

4/17
前へ
/70ページ
次へ
始業式が終わり、桜先生が新入生を紹介しようと思ったが、肝心の二人はまだ来ていない。 見かねた副担任が、二人に変わって言い訳する。 「実はですね、二人は大事な用があって遅れ」 しかし、そこで扉がガタン!と大きな音を立てて横にスライドした。 開いた人物はドアに手をかけ、真っ赤な顔で荒い息をし、汗までかいている。 きっと、学校まで走ってきたのだろう。 「てめぇのせいで寝坊したじゃねぇか!!!」 (思いっきり理由言った!!) ド派手な登場にクラスの全員が驚いていると、奥からもう1人。 「大丈夫だって。 どうせ始業式だから出席取らねぇよ。 セーフセーフ」 (いやアウトですけど!?) 常識はずれな展開に、声も出ない。 しかし、ただ1人――副担任だけは違った。 「こんの、バカどもーーーーー!!!!!」 美しい半円形の軌道で放たれた蹴りは、新入生二人を教室の外へ吹き飛ばした。 「まったく……この私が気を遣ったのに……!」 蹴飛ばされた少年――翔が副担任の顔を見て、思わず名を呼んだ。 「……梨沙!?」 夕日のような赤い髪に、サファイアのような青い瞳。 スレンダーなスタイルに文句の付けようのない顔。 副担任はリーサ・メイデンこと梨沙である。 「何してんだお前!?」 「話はあと! いいから座りなさい!」 黒いローブに同色のとんがり帽子。 魔法世界では正装になる格好で、頭ごなしに言う梨沙。 「??」 オレたちは訳も分からぬまま空いた席に座る。 すると、オレの斜め後ろに座るリンが教えてくれる。 「新しい副担任やねん。 理事長の推薦でなったらしいで」 「さっきまで男子生徒がいろいろ質問して大変だったんだぞ」 「なんだ、10歳の魔法少年なら主人公チェンジしたのに」 「……それは女子中学校」 「いや鉱輝、15歳の魔法少女でも話題性あると思うが?」 「まーな、でもその場合ドジっ娘属性が必要だ」 と、ひそひそ話が過熱しそうになったところで、メガネをかけた若い女の先生から声がかかる。 「ちょーっと戻ーってきてー。 君たちのしょーかーいをするからー」 担任だと言う花咲先生に促され、オレは自己紹介をする。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加