魔法学校は9月入学。

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「駒田 翔です。 一応レベル2です。 みなさんよろしくお願いします」 頭を下げる。 すると、ひそひそと声が聞こえてきた。 「オイ……あいつが生徒会にケンカ売ったっていう……」 「あの鬼会長と互角に渡り合ったって噂だぜ……」 「え、あんな化け物とまともに戦って生きてんの……!?」 会長……オレが好奇の対象になることはない、とか言ってなかったっけ? めっちゃ注目されてるんですけど!? あと、めちゃくちゃな言われようですよ、会長。 さて、次は鉱輝の番だ。 彼は片手をしゅたっと挙げ、言った。 「オッス、おら鉱輝。 じっちゃんの形見の星四つの球を探して、筋斗……」 「何言ってんだお前は!」 後頭部を張り飛ばす。 「どうせならファンタジックな紹介の方がいいだろ?」 「つーかファンタジーだよ! 冒険ファンタジーだよ! じゃなくて真面目にしろよ!」 「真面目に……?オレから最もかけ離れた言葉だな」 「カッコつけんな!!!」 もっと強烈な張り手、つかパンチが再び鉱輝の後頭部を襲う。 ……梨沙、副担任としてそれはどうかと思うぞ。 「オイ……あいつが編入試験の筆記・実技ともに満点だった天才の……」 「でも頭がかなりアレだって噂だぜ……」 どうやら鉱輝も有名人らしい。 鉱輝は「しゃーねぇーなぁー」と頭を掻くと、再度自己紹介。 「黒岩 鉱輝だ。 こいつと同じで遊部所属。よろしくな」 途端に、クラスにどよめきが流れた。 「マジかよ……リンのあの部に……!?」 「せっかくうちの部に招待しようと思ってたのに……かっこいいし……」 「あたしも……いいなリン……」 「美少女4人の部に入るなんて……うらやましい……」 「俺も入ろうと思ったけど、門前払いだったぜ……」 驚愕や落胆、羨望などあらゆる感情が教室の中を飛び交う。 オレはその様子を見て、ため息をこぼす。 平凡な毎日なんて、送れそうにないな、と。
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