魔法学校は9月入学。

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「コマショー、はよせな置いてくでぇ……」 「少し落ち着けよ。 昨日の寝不足でしんどいんだよ」 「なんだ。 一回徹夜したくらいでへばってんのかよ」 「オレにたたき起こされた奴が言うセリフじゃあねぇよ!」 「夜中にたたき起こしたのは俺の方だけどな」 「威張るな!!!」 「仕方ないだろ。 修行行ってる間に溜まったビデオ6時間分、見なきゃならなかったんだよ」 「1日で見る必要ないだろ!」 「バカ野郎!!! 深夜アニメは毎日あるんだよ!溜め出したら止まらないんだよ!」 言い合いながらも歩いていき、遊部の部室に到着。 その扉の前に、生徒会長が立っていた。 まだ夏の暑さ冷めやらぬのにバッチリ学ランを着用し、『会長』と書かれた古い腕章を右腕にはめている。 そして彼は、いきなり水の球をオレに飛ばしてきた。 顔に当たる寸前で、手のひらで受け止める。 彼は口許に笑みを浮かべ、 「合格だ。 私と戦ったときの君とはまるで別人だよ」 と誉めてきた。 でも見下されている感があってイマイチ喜べない。 「……そりゃどうも」 ぶっきらぼうに礼を言い、横をすり抜けようとすると、紙を手渡された。 「理事長から渡された部活動許可証だ。 最後まで読んで理解するように」 「オレじゃなくてリンに渡せよ」 文句を言いつつ一歩踏み出したとき、去り際にあることを耳打ちする。 部室に入り、適当な場所に腰かけつつ渡された紙を読む。 名前はもちろん『遊部』、部員は5名、部長はリン。麗美さんの方が年上なんだが……。 顧問は『リーサ・メイデン』……って梨沙かよ!? 「どうやらそのために呼ばれたらしいのよ」 部室の入り口から梨沙が入ってくる。 理事長め、最初からそのつもりだったな……。 「遊部のメンバーも全員同じクラス。 理事長が仕組んだようだな」 魅世さんの言葉を聞き流しつつ活動内容を見て、オレは目を疑った。
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