第一話:山林の巨人

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ズイッ、と小豆先生の顔が露助の顔に近づく。 怪我の為と露助は頭で解っているのだが、露助の緊張はすでにピークだ。 「え・・・HMのコックピットで・・・こ、転んじゃって・・・」 顔を真っ赤にして、小豆と視線を合わせては逸らしを繰り返す露助。 サッカー部にやられたなんて、仕返しが怖いし何より誰も信じてくれないので適当に誤魔化す。 「まあ・・・痛かったでしょう?ちょっと待ってて・・・」 小豆は、肩から下げている救急カバンの蓋を開けて、中身をいじり始める。 「えっと・・・あった!」 小豆がカバンから取り出したのは、打撲用のチューブ塗り薬「マロキン」。 マロキンの蓋を開け、チューブから出した塗り薬を、露助の頬っぺたに撫でるように塗る。 一塗り、二塗りと。 「あ・・・あああ・・・」 小豆先生にはそんなつもりはないのだが、露助のようなウブな思春期男子にとって、片思いの相手に身体を触られるというのはたまらない物なのだ。 そして視線を下げると、服と肌の間から小豆先生の谷間が顔を出している。 露助の頭の中はもう真っ白だ。 「はい!おしまい!」 治療が終わり、慣れた手つきで小豆先生は薬をカバンに閉まった後も、露助の頭の中は真っ白のままで、緊張した目でじっとしている。 「これで少ししたら痛みは引いていくはずだから・・・お大事にね、未来のエース君♪」 そう言い残し、小豆先生が駆けてゆく。 ポーッとしている露助と、それをニヤニヤしながら見つめる桂太。 「ふふ、いくらクールな露助っちも、所詮は男の子ですな」 ふと桂太が露助のズボンを見ると、ズボンの股関部分が盛り上がっていたという。
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