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「小豆先生が顧問やってくれたらなァ・・・」
その言葉に、部員達の動きは、露助を見て止まった。
そして沈黙の後、部員達の時は動き出す。
「無理だって、小豆先生は若い女教師!いくら保険の先生でも、女としての本能がこんなキモオタ集団の保護者なんて許さないだろうぜ」
まるで昔のアニメに出てくる皮肉屋キャラのように、幸助が醒めた口調で「やれやれ」な感じで話す。
普通なら熱血主人公が「そんな事はない!」と反論するのだが、ここにはロボットを素手で倒す拳法家の弟子も、敵軍の女性兵士と恋に落ちる甘ちゃん隊長も居ないのだ。
「・・・だよなぁ・・・」
力無く、ため息と共に残念そうに項垂れる露助。
それを横目に、四本のペットボトルを持ち歩き用の小さいカバンから取り出す幸助。
ラベルには「モカ・サイダー」と書いてある。
多分炭酸飲料水なのだろう。
自分の分を一本と、他三人に一人一本の割合で分ける。
「露助が小豆先生が好きなのは知ってたけど、なんでまたいきなり・・・」
あぐら座りをして、サイダーの蓋を開ける俊也。
プシュと音が立った。
「ふふふ、それはな・・・」
スッと立ち上がる桂太。
その目は得意そうな、まるで誰も知らない秘密をばらそうとしているような顔だ。
「今日、露助っちは小豆先生と顔がキス寸前まで接近したからなのだ~!!」
「「な、なんだってええええっ!?」」
桂太の告白に、声と共に驚く俊也と幸助。
彼らは、本当に露助が小豆先生とキス寸前まで行ったと脳内で考えているのだが、実は違う。
「・・・・・・打撲の傷治療してもらっただけだよ、変な勘違いしないで」
少し顔を赤くし、真実を述べる露助。
その通り、あくまで治療、邪な気持ちはない。
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