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此処はよくある大通り、今は夕方の帰宅の時間帯で人がたくさん通る
そんな大通りの一角に人だかりが出来ていた
「~♪」
そこからはギターの音が聞こえる、路上ライブだろうか
そして演奏が終わるとその場に居た観客から拍手が送られ、ギターを入れるケースにはお金が入れられた
「何時聴いても凄いね」
「ありがとうございます」
そう言ってからジャンとギターを一回引くと蜘蛛の子を散らす様に人だかりが散った、しかしこれは少年にとっては何時もの光景
「ま、上々だな」
ギターケースの中にはお札やら小銭がそれなりに入っていた
「でもこれで今月は助かるな」
今更だが少年の格好は茶色のカウボーイハットに茶色コート、その下に黒のシャツに黒のズボンと言う格好だ。
少年は何時ものように帰ろうとしたが自分の前にまだ誰かが居ると感じて顔を上げると
「いい演奏だったわ」
夜なのに日傘を持った、金髪の女性が居た
「……」
「何故居るって顔ね」
「ああ、貴女は俺の演奏を聴いたよな」
「ええ、聴いたわ」
「だったら」
何故その場にいる、そうさっき人だかりがまるで何も無かったように消えたのか、それは少年が生まれながら持っていた能力のせいだった
「簡単な話よ、幻と現実の境界線を弄っただけよ」
そこで少年は気付いた、目の前の女性は自分と同じ異能な力を持ってる者だと
「それで何か用ですか」
「簡単に言うと貴方を幻想郷に招待するわ」
「幻想郷?」
「そう、こちらでは非常識なものが流れる楽園」
「……分かった、行こう」
「あら随分即決ね」
「こっちに未練は無いからな」
そこまで言ってカウボーイハットを取る少年
「希咲 淳(キサキ ジュン)だ」
「八雲 紫(ヤクモ ユカリ)よ、では」
クパッ
「はっ?」
「一名様ご案内♪」
声も上げられず淳は突然足元に開いたスキマに落ちていった、そして淳は幻想入りをした
「でも彼、女の子みたいな顔だったわね」
落とした本人はそんな事を呟いていた
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