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彼らは少々不満げではあったのだが、しぶしぶ従う。
そしてドアを閉める直前、シズキが彼女の腕を掴んで真っ直ぐ見詰めながら言った。
「ヒビキ!言っとくけど、いくら彼氏と一緒だからってオレたちの前でイチャイチャすんなよ!仕事だからな、これは仕事!」
「もちろん、わかってるわよ。公私混同する気はないもの」
―それにあなたたちの前でイチャイチャしたらいつどこでネタにされるかわかったもんじゃないし。
メンバーが車に乗り込んだのを確認すると、ヒビキは助手席へと乗り込んだ。
「トモくん、お願いね」
「ああ、うん。じゃあ行くぞ」
車は静かに出発したのだが、しばらくは後ろからの視線が痛い。
「…秋マネ!シズが拗ねてるんですけどーっ!!」
「は?拗ねてねぇし」
「いや、これはどう見ても拗ねてるだろ」
「レイまで何馬鹿なこと言ってんだよ」
「だってサチもそう思うだろ?」
「うん」
「なんかさー。お気に入りのオモチャを取り上げられた子供みたいー」
「そんなことねぇし!!」
ヒビキは苦笑いを浮かべながら彼らの会話を聞いていた。
仲が良いのは良いことだが、やっぱりこんなところはまだまだ子供だなぁ、と思う。
「うるさくてごめんね」
「いや、別に気にしてない」
「ならいいけど」
彼女がトモハルにそっと謝ると、彼はさほど気にしていないように笑った。
ただ、ルームミラー越しにシズキと目があっていたことをヒビキは知らない。
そしてそんな中、ノアはシズキにこっそり耳打ちをした。
「ねぇ、シズ」
「あ?」
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