狂いだした歯車

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陽がどっぷり暮れる頃、この日の撮影は無事終了した。 「お疲れ様ー!」 ヒビキは撮影で冷え切った彼らに温かい飲み物を差しだした。 私のしてあげられることといえばこれくらいなものだ。 「ありがと」 先ほどのことがあってから、少しだけシズキとは顔が合わせずらい。 避けたりするなと本人には言われたけれど、どうしたって少し意識してしまう。 ―うー気まずい。 しかし、そんなヒビキをよそにシズキは今まで以上にじゃれついてくるようになってしまったのだけれど。 果たして、どうするべきか。 「マネージャー、今日はこれで終わり?」 ちょっとだけ疲れた様子のサチが飲み物を両手に包んでホッとした顔で聞いてきた。 きっとこの寒さは彼には随分と応えただろう。 でもサチの偉いところはどんなに苛酷でも文句一つこぼさないところだ。 「はい。あとは明日なので温まってゆっくり休んでください」 「やっと休めるのかー!」 「あ、アッキー。それでこの後の予定ってどうなってんの?」 レイがぐったりした様子で聞いてきた。 この様子だと…多分、お腹が減ったんだと思う。 彼は素直に態度に出るから思っていることがわかりやすい。こういう素直さは嫌いではない。 「えっと…夕飯は間もなく敷地内にあるバーベキューハウスで食べられますよ」 「おっ!肉!?」 「はい。ちょっと寒いかもしれませんが、一応屋根もありますしもちろんお酒も用意してあります」 「うおっしゃあ!飲むぞー!!!!」 「レイ。飲みすぎんなよ?」 「わかってるって!」 「やったー!肉いいね、肉!!早く食べたい!」 さきほどまでぐったりしていた面々も夕食の話になると目を爛々と輝かせる。
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