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「そりゃー相手に誘われたらころっと…」
「そ、そんなことありませんよ!」
「いや、男なんてわかんないって!」
「じゃあそういうみなさんも簡単に浮気するってことですか!?」
ヒビキは反論とばかりに訝しげに尋ねた。
するとレイとノアは一瞬、言葉を失った。
「オレはしないよ?」
そんな沈黙を打ち破って真っ先にそう答えたのはシズキ。
見た目が王子様なだけに一番怪しいのは彼なのだが。
「本当ですか?だってシズキくんなら女の子はよりどりみどりでしょ??」
「いや、オレそんなにモテねーし」
「そうは思えませんけど」
「別にオレはそんなにチャラくないし、意外と一途なんだぜ?」
「嘘ーっ」
彼女は疑わしげに口をとがらせる。
「まぁ、男全部がそうとは言わないけどちょっとした間違いくらいはあるんじゃないー?」
ズキン、心が痛む。
シズキやレイが言うなら仕方ないかと思えるものの、見た目の可愛いノアに言われてしまうとちょっとショックだった。
―結局、男の人ってそういう生き物ってこと?
ヒビキはトモハルをじーっと見つめて大きなため息をついた。
彼はヒビキのことなんか気にしていないのか、こっちを気にする素振りも見せなければ気付いている様子すらない。
「もー不安にさせるのやめてくださいっ!」
お酒が入ったせいもあって急に情緒不安定になったヒビキは不安でいっぱいになってしまう。
「大丈夫、もし何かあったらオレが慰めてやるよ」
シズキはそういって子供を宥めるようにぽんぽんと彼女の頭を撫でる。
―こうしてほしい人はトモくんなのに。
ヒビキはトモハルの楽しそうな表情をみるとどんどん心が重くなっていくのを感じていた。
信じてる、けど…隣にいるのが自分ではないことが寂しい。
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