事の発端

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「わかった!話せばいいんでしょ」 ヒビキは観念したようで半ばやけ気味に言い放った。 「トモくんと初めて知り合ったのはライブハウスだったかな。当時から音楽が好きで、お気に入りのバンドがいてね。よくライブを観に行ってたの」 「オレはたまにそのバンドと対バンしてて」 「えっ、彼氏さんバンドマンなの?」 「今はもう辞めちゃったけどな」 「そう。元々、私は彼のバンドには興味なかったんだけど…たまたま連れて行った友達が彼のバンドメンバーと知り合いで」 「えーそんなことある?」 「だってあったんだもん」 「バンドメンバーを通じてヒビキとも知り合って、ライブに来てくれるようになったんだよな」 「うん」 「そこから徐々に話すようになって、バンドが解散したときに告白した」 「へぇー意外。超意外」 「なんで?」 「あんまりバンドマン受けしそうな感じにはみえないし、積極的な感じにも思えないしさー」 「そうか?」 「はい!もーこの話は終わりっ!!さぁ、みんな車に乗って!早く現場行きますよー!」 ヒビキは気恥ずかしさから強引に話題をかえた。 やっぱりプライベートなことを知られるのはメンバーといえど恥ずかしいものだ。 それにこれ以上、彼らから繰り出されるジャブを受け止める自信は正直なかった。 「えーっ!?まだ聞きたいこといっぱいあんのに」 「これ以上は質問、受け付けません!」 「何でーっ!」 「まぁ、でも今日は泊まりだし聞く時間はたっぷりあるよね」 「なっ!」 「それもそうか」 「それもそうか、じゃなーい!もう話すことありませんから。ほら、撮影押しちゃうから乗った乗った!」 ヒビキはそういって彼らをそそくさと後部座席に押し込んだ。
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