第一章「始音編~prologue」前座

5/18
1560人が本棚に入れています
本棚に追加
/900ページ
 それから、柊詩音は体調不良で学校を休んだ。  医者に看て貰っても、インフルエンザとかノロウィルスとか明確な診察結果は得られずいつも曖昧の風邪と言われるだけで、勿論日に日に症状は増していく。  一週間もベッドの上でうわ言を呟きながら衰弱していった。一人暮らしでこんな時接してくれるほどの友達もいないので、一人ぼっちで布団の中悪戦苦闘を繰り広げている。  実は一人の少女からずっと励ましのメールを送ってきてくれており、心の支えにしてはいるが部屋に呼ぶ事は無かった。看病しに行くというメールを受けたら即座に断固来るなと返す。  そうしなければ。  彼女を、殺してしまうから。  ちなみにどんな悪戦苦闘を繰り広げているのか、というとただ単純に頭の中で、吐き気がするくらいある種の感情が反響しているだけ。  殺したいとか。  殺したいとか。  殺したいとか。  殺したいとか。  殺したいとか、そんな感情がどす黒い何かになって。
/900ページ

最初のコメントを投稿しよう!