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今、レインはエンの前で正座をしていた。
どうやら、橋の突風を出したのは誰か分かったようで。
その数分前。
「レインだろ、あの風を起こしたの。」
食堂で優雅…と迄はいかないが、礼儀を重んじながらも食事をするレインに向かって静かに問うエンがいた。
磔にされた時に出来た傷も、上級魔法で攻撃された怪我も、橋に現れた突風と共に消え、ソナー家の屋根に放り出され、屋根で待ち受けていたスノーとレインにより手厚く治療されたので、今はすっかり跡形もなく消えている。
「ムカつきましたの。」
たったそれだけが理由ではないのだが。
そして、数分後にレインはエンの前で正座をしていた。
「レイン。ごめんな、心配かけて。」
エンは、困った。
レインが箸(はし)を少し乱暴に置いたかと思ったら、エンの前で正座をした挙げ句号泣をしたからだった。
「ムカつきましたの!悪いのは、お兄様ではないのに。…グスッ…誰も助けないのが許せませんでしたの。それよりも…グッ、あの二人が許せませんでしたのぉ!」
そう言って号泣するレインを、エンは愛(いと)しそうに見つめる。
そして、数時間後。
食堂には、正座をしたまま延々と泣き弱(じゃく)るレインと、同じくレインの隣で正座をして反省をしているエンがいた。
その二人の前には、冷笑しているスノーと、温厚な笑みを浮かべているのに目が全く笑ってないロックが佇(たたず)んでいた。
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