信頼

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   レインは、泣き腫らした瞼を創造魔法で作っておいた、ただの普遍の鏡で見て溜め息を吐(つ)いた。  (最悪だわ、泣くなんて。泣けば、全てが帳消しになるなんて思ってる人と同じになっちゃうのに…。)  エンの前で号泣し取り乱した事を悔(く)いた。  然し、いつまでも悔いてばかりではいられない。  (…この世界は、地球と違う時間の流れ。地球では一日二十四時間しかないけれど、此方(こちら)では一日二十四時間以上ある。つまり、一日が長く感じるのは致し方ないという事?…)  レインは、一日をどう使うか考える。  (お兄様が家にいるという事は、学校に行く日は未だ先。ならば、ギルドも行ける。商業ギルドは、ゆっくり行けば良い。問題は、ハンターギルド。お兄様の事もあるし。やる事は山積み。…地球の頃、出来なかった事が此方でも出来るなら。転生した甲斐はあったわね。)  そう考えるレインは、ふと窓を見る。  窓の外は、うっすら暗い。然し、レインは暗さよりも窓の外とは別のモノを見ているような、遠い眼差しを向けていた。  左手の掌に、冷気を出すと腫れた瞼に当てる。  自分で出しておきながら、冷気の余りの冷たさにビクリと驚く。そして、少し魔力を控え、うっすら冷たい冷気を出して、再び瞼に。  (明日、ハンターギルドに行こ。そして、…探そう。)  少し瞼の腫れが引いて来たのを、鏡で確認した後に治癒魔法を使って瞼の腫れを完全に治す。  最初から治癒魔法を使えば良かったように見えるのだけれど。  然し、レインはそう思っていなかった。  戦闘等、魔法を使わなければならない以外は、可能な限り魔法を使わないようにしようと考えていた。  
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