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「はぁ!?まだ!?
あんた
今まで何してたのよ!?」
ごもっともな質問。
しかし、真相を言えばまたバカにされるだろう。
もう罵倒されたくない!
以前の私とは違うんだ!
そう頭に念じるように思った舞は、今の自分の中で一番無難なセリフカードを瞬時に選択した。
「まぁ、のらりくらりと…」
これなら 怒られる心配はあるまい。
「バカ舞!!」
「何で!? 」
舞のセリフは当然の如くいとも簡単に一蹴され、朝比奈に問い詰められた。
「どうなってるのよ!」
朝比奈はそう言いながら舞の首を両手で絞める。
「う…うー」
こ…殺される…
舞が自分の生命に危機を感じ始めたその瞬間、とうとうそこに救世主が現れた。
「まぁまぁ、朝比奈さん。
舞ちゃんも反省してるみたいだから 大目に見てあげなよ。
てか、死ぬよ?…それ。」
あ、雨羽くん…
なんて…なんて優しい方なんだ!
あなたは 冠位十二階で例えるところの濃紫だよ!!
格上げさ!
こんな悪魔とは違っ…
「うっ…!あ゙ぁ~」
雨羽の言葉を聞いても朝比奈の力は弱まる事はなく、舞の首は締め続けられる。
こんなに死を間近にしたのは、高一の夏以来だよ。
舞は思い出す。
あの日の出来事が写真のアルバムのようにパラパラと脳内でフラッシュバックされていくのが分かった。
所謂、走馬灯というものだろうか。
所詮、過ぎた出来事。
そしてついに鬼の形相をした朝比奈の顔もボヤけ始め、そこで舞の視界は暗くなった。
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