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「お~い、舞ちゃん!
舞ちゃ~ん!」
「ほえ?」
雨羽の声に気が付き、舞は暗い視界の中、寝ぼけた様な声を出す。
今のは…夢?
「ここは…?」
目を閉じていても鼻に入ってくる匂いは、あの消毒液や薬剤の匂い…などではなく。
嗅ぎ覚えのあるジャスミンの香水の匂いだった。
「ま、まぁ、廊下だね。
具体的に言えば 朝比奈さんの手の中?」
「え…?」
雨羽の淀んだ声にハッとした舞はすぐに目を開けた。
「あ、朝比奈さん!!」
目の前には、相変わらず首を絞めたままの朝比奈の姿があった。
今は全然力が入っていない為、息苦しい以外に支障はない。
「わ、私、成仏とかしたんじゃないの…?」
「いや、舞ちゃん。
まだ幽霊にすらなってないんだから成仏も何もないでしょ…」
雨羽のツッコミも大概に、朝比奈は舞に向かって溜息を吐いた。
「バカね。
私が殺す寸前で力を緩めたのよ。」
「えぇ~?」
どんだけテクニシャンな人なんだ朝比奈さん…。
ていうか、死の間際だったんだ私…。
驚愕と言うか、困惑と言うか、複雑な感情に取り込まれた舞は軽くショックを受ける。
「ま、これに懲りたら
今度はさっさと成功させなさいよね!
あんたもだよ凛!」
「は、はい。」
「へいへーい」
朝比奈はそう言うと、舞の首から手を放し、どこかへと旅立っていったと思ったら『2-A』と札のしてある教室に入っていった。
てゆうか、私には散々やってきたクセに雨羽くんにはお咎めなしなんだ…
「ん…?どしたの?
舞ちゃん。」
「くぅ~ これが濃紫と薄黄の違いか!」
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