プロローグ

12/29
前へ
/44ページ
次へ
「え…な、何の話?」 雨羽が戸惑っているのも尻目に、舞は相変わらず自分の世界に入りっぱなしだった。 そう、これが 朝比奈 美月という女の恐ろしさだよ。 探偵部の部長というポジションを利用して、職権乱用をしまくる新手の詐欺師… それが 朝比奈 美月という女の正体なんだ! 間違いない! 「舞ちゃん… 今 すごく 下らない事 考えたでしょ?」 「な、何故 それを!?」 舞は自分の考えが見破れた事に驚き、雨羽をマジマジと見る。 すると、雨羽は舞に顔を近づかせ、含みのある顔で予想外な発言をした。 「ふふっ 実は僕 エスパーなんだよ」 「な…っ! なんですって!?」 新事実が発覚してしまった… 雨羽くんが実はエスパーだなんて…!? で、でも…そんな事急に言われても私はどう対処したらいいのかな… やっぱり秘密にしといた方が… 「んじゃ! あとガンバってね、舞ちゃん!」 舞が思考を働かせている間に、雨羽は『2-C』と札の掛かったクラスの扉の前でウインクをすると、教室へと入ろうとしていた。 「あ。ちょ、ちょっと待って…」 舞の言葉は届かず、雨羽の姿はそこで教室へと消え去り、目の前に見えるのはただ生徒が行き交う廊下だけとなった。 しばらくポカンとしていた舞は、腕を組んでから考える。 うーーーーーん。 結局…何でバラしたんだろ?
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加