プロローグ

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時間は過ぎ去り放課後。 俺は大きな伸びをして欠伸をすると、用意していたカバンを掴んで席を立った。 不意に目がいった時計の針は、3時49分を差している。 HRの終わったクラスの生徒たちは次々に今から始まる部活動の為に各々動き始めていた。 五月の中旬。 この時期になると、体育系の部活動はどこも県総体を目標に躍起になって練習をしている頃だろう。 去年うちは確か、サッカーが県のベスト3まで入ったとか。 野球が甲子園に惜しくも行けなかったとか。 陸上のあの子が全国大会に出場したとか。 どことなく曖昧だが、噂に流れてきたこの情報を信じるならば、そこそこうちの学園というのは部活動に対して悪くない成果をあげているのだろう。 むしろ、凄いことなのではないだろうか。 まぁ、興味ないけど。 俺は、特に何も入っていないスカスカのスクールカバンを肩にかけると、扉に向かって歩きだした。 そこでふと気が付く。 「あ、やべ。体操服忘れた」 6限目が体育だったので、すっかりそのまま更衣室に置いて来てしまったようだ。 俺は、体育館に行く面倒臭さから溜息をつく。 校舎の隣にある体育館は今、部活動をする奴らで賑わっている事だろう。 その事を考えると、明日また取り行けばいいや、なんて思ってしまうが、明日休みじゃん。 さすがに休みの日にわざわざ学校へ来るなんてかなり面倒臭い。 しかも体操服を取る為だけに学校へ来るなんて、時間の無駄もいいとこだ。 俺はまた溜息をつくと、カバンを掛け直してから嫌々ながらも体育館へと向かうことにした。
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