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「う~、また 朝比奈さんに怒られちゃうよー」
2-Bを出た女子生徒は、元気のない顔で独り言を言いながら廊下を歩いていた。
「はあ…」
「あれ~?
これはこれは、もしかして
音里舞(おとざと まい)ちゃんじゃないかなー?」
溜息を吐いて隣の教室である『2-C』と札の掛かった扉の前で立ち止まると、聞いたことのある声が舞を呼んだ。
「あっ!雨羽くん!」
舞はすぐに振り返ると、その知った顔を気まずそうに見る。
「何で、そんな顔してんのさ?
そんなに僕に会うのが嫌だった?」
「え…いや…そうゆう事じゃないよ。」
この人の名前は雨羽凛。
同じクラスで同じ探偵部の所属だ。
「ふ~ん。
あ、そういえば舞ちゃん。
小野崎くんって人 勧誘しに行ったんじゃなかったの?」
うわっ…!
その質問、来ると思ってたよ…
だから会いたくなかったんだよね…雨羽くんとは…
その言葉にドキリとした舞は、慌てて 言い訳を考える。
「え…えっと~
どうやら 留守みたいだったよ?」
我ながら完璧な嘘だと思う。
今まですぐに嘘はバレてきたけど、これならイケる気がするよ!
「いや 家じゃないんだから…
さてはまた失敗したなー?」
舞の自信も虚しく、雨羽はすぐに嘘を見通してみせた。
「え!?何で!?
どうして分かったの! ?」
「舞ちゃんの嘘は
毎回 分かりやすいんだよ。
そんなんだから 朝比奈さんにバカにされるんだって」
「うっ!」
『朝比奈』という名前に、舞はまたドキッとして心拍数があがる。
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