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「はよーさん。昨日、大丈夫だったか?」
朝ごはんの準備をしていると、徐々に広間に隊士が集まってくる。その中で原田が愛希に気づき、笑顔で声をかけてきた。
「おはようございます。ご心配かけてすみません、もうすっかり元気です!」
拳を作って両腕を上げて見せると、原田が苦笑しながら、続いて入ってきた永倉を指さした。
「様子見に行こうって言うにのに新八がダメだって言ってよ。元気ならいいんだ」
「お前が行ったらやかましくて愛希が寝れねえだろ。ところでちょろっと話聞いたんだが……お前何か思い出したのか?」
キョロキョロして周りに聞かれていないことを確認しながら、永倉が愛希の耳に顔を寄せて聞く。博識な永倉のことだから、倒れた=何か思い出したかもしれない、という発想が出てもおかしくはない。
「なんだか妙な夢を見ていた気がするのですが、思い出せないんです。結果何も思い出していなくて」
愛希が俯き加減でそう言うと、永倉は少し残念そうに眉を下る。すると沈んだ空気を察した原田が愛希の背中を叩いた。
「……まあまあ、体調が治ったのはいいことじゃねえか!」
「はい! 今日から巡察にも連れてってもらいます!」
原田の励ましにそう答えた愛希の顔は明るく希望に満ちていて、少し心配していた永倉も一緒に微笑んだ。
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