3.どう見ても結婚なんか出来ない

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兄は今イタリアにいます。 どうやら、料理人っぽいです。 そしてそろそろ帰国するみたいです。 ナギ兄、誕生日プレゼントのマトリョーシカ、ちゃんとロシアから発送されてましたが、どうやったんですか? クリスマスプレゼントのエリザベス女王グッズは一体どこから? 今年は最後のお年玉だぞって、ランド紙幣で送って来たよね? えっ?誰?って思って調べたら、ネルソン・マンデラだった時の衝撃、忘れません。 そう言えば、お兄ちゃんに結婚する(かもしれない)事話してなかった。 メールしとくか。一応。 一頻り話して美晴が帰ってから、兄にメールを送る事にした。 ナギ兄、お元気ですか? 私、夏頃に結婚するかもしれません。 帰って来るとき、リモンチェッロ買って来てね。 考えた末に送ったメールは随分簡素な文章になってしまったが、言いたい事は伝わっただろう。 一応満足してパソコンを閉じると、玄関の鍵が開く音がした。 「汐?起きてた?寝てなくて大丈夫なのか?」 荷物をドスンと落とすと一目散にやって来た男は、汐の頬に手を当てて暫し見つめた後、キレキレの王子様スマイルを浮かべて、当たり前の様にキスをした。 「待て!待て!」 「あ、ごめん!手洗って来る。」 いや、そうじゃない! そう言う間もなく洗面所に消えた男は、直ぐに戻って来て、やり直し!と言わんばかりに汐を抱きすくめた。 「ちょ!待ってよ!」 抱きすくめると同時に耳たぶにキスし出す男を何とかして引き離す。 「汐がまたいなくなったらと思うと気が気じゃなかった。」 そう言うと恭は再び汐を抱き締めた。 「どこにも行かないよ。って言うか、行けない。」 「うん。それは分かってたけどさ、そうしたのは俺だし。」 は?計画的犯行なの!? 体力と筋力を奪って逃げない様にしたって訳!? だったら食べ物くらい用意しとけよ!! 「でもちょっと後悔した。やっぱり客席か楽屋にいてくれた方が良かった。今日一日ずっと会えないのは辛かった。」 「なっ!」 「そんな可愛い顔するなよ。明日も一日ベッドにいたいの?」 「ちょ!そんな訳な・・」 「マジで煽るなってば!一緒に風呂に入ろうと思ってたけど、このままじゃマズイから一回シャワー浴びて来る。」 拗ねた様に、でも嬉しそうに笑う恭に、汐はただ赤面するしか出来なかった。
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