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そう言うと、竜士は手を大きく振りながら風のように去っていった。
去るついでに通りかかる生徒にも警告をしていた。
竜士の姿が見えなくなった時、奏美が口を開いた。
「でもいつかは起こるんだよね?大噴火。」
その口調はほんの少し、真剣さが混じっていた。
「まぁいつかはな。でも来るなら、俺たちが死んでからにして欲しいもんだ。」
俺と奏美は席に着いた。
まだ奏美はしょぼくれた顔をして俯いていた。
「何だ?奏美。竜士の話間に受けてんのか?」
俺はからかったつもりなのだが
奏美は俯いて表情ひとつ変えずに言った。
「この島……なんかあるよね。」
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学校も終わり、夕焼けの中帰路についた。
帰りはいつも奏美、竜士と一緒。
他に友人もいるのだけれども一番落ち着くのがこの面子だ。
まだ、竜士は今夜起こるらしい大噴火について奏美と語り合っていた。
奏美は噴火の事は分からないけれど、二人とも最後に行き着くのは「この島にはなにかある。」ということ。
それが何かなんて分からない。
だが、確かに2人はその何かを感じ取っているのだ。
俺には全くわからない。
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