選定の刻

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そう言うと、竜士は手を大きく振りながら風のように去っていった。 去るついでに通りかかる生徒にも警告をしていた。 竜士の姿が見えなくなった時、奏美が口を開いた。 「でもいつかは起こるんだよね?大噴火。」 その口調はほんの少し、真剣さが混じっていた。 「まぁいつかはな。でも来るなら、俺たちが死んでからにして欲しいもんだ。」 俺と奏美は席に着いた。 まだ奏美はしょぼくれた顔をして俯いていた。 「何だ?奏美。竜士の話間に受けてんのか?」 俺はからかったつもりなのだが 奏美は俯いて表情ひとつ変えずに言った。 「この島……なんかあるよね。」 ------------------------------------- 学校も終わり、夕焼けの中帰路についた。 帰りはいつも奏美、竜士と一緒。 他に友人もいるのだけれども一番落ち着くのがこの面子だ。 まだ、竜士は今夜起こるらしい大噴火について奏美と語り合っていた。 奏美は噴火の事は分からないけれど、二人とも最後に行き着くのは「この島にはなにかある。」ということ。 それが何かなんて分からない。 だが、確かに2人はその何かを感じ取っているのだ。 俺には全くわからない。
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