選定の刻

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選定の刻

中心に巨大な火山が堂々とそびえ立つ島。 真塵島。 その巨大な火山。噴山。名の通り、よく小規模な噴火を起こす。その度に島の住民は火山灰に悩まされる。 だが、小規模な噴火だと言って油断できない。 いつ大規模な噴火が起きてもおかしくはないのだ。 だが、この火山の大規模な噴火は聞いたことがない。 本当に危ないのではないかな? そんなことを昼休みの時間に高校の校舎の窓から噴火を見上げつつ考える。 校舎は三階で少し高いのだが、まだまだあの山にはかなわない。 まったく大した山だ。 「こーーかーーどーーーーん!」 教室内から自分を呼ぶ高い声。 元気いっぱいの幼馴染みが俺を呼ぶ。 「なんだよ。奏美か」 寺門奏美。あだ名はそうみん。これはどうでもいい。 身長は一般男子の肩ほど。ミディアムヘアの可愛らしい元気な女の子だ。お人形さんと一緒に寝てそうな、ほんわかした感じ。右の髪だけ束ねて赤いリボンしている。 姓に同じ門がついてたからと言って、自分と同じ読み方で俺の門をかどと読んでくる。 俺はこかどではない。 個門だ。個門創一。こもんそういちなのだ。 「奏美。今まで俺は何をしていたかわかるか?」 奏美はきょとんとする。 「へ?ぼーーーじゃないの?」 俺はため息混じりに反論してやった。 「リア充だよ。リア充。リア充してたんだ。」 更に、奏美がきょとんとする。 「いや、いやいやいや。休み時間に一人で校舎の窓から山見上げるって。非リア充の極みじゃん。」 「やっぱり奏美さんは分かってないな。 いいか?まずリア充とはこう定義するもんなんだ。 現実世界においてあらゆる考えを持つことができる人間。 もし火山が噴火したらとか、もし、島の人間がゾンビ化したらどう対処すべきか。こんなことが考えられる人間こそリア充の原点なんだ。わかるか?」 奏美はしばらく考えたが、すぐに諦めた。 「何か難しいしどうでもいいや。それよりさぁ。購買ついてきてよぉ。お昼まだなんですけどーー」 「まぁいいや。リア充は後にしておこう。」 奏美は両手を挙げて、笑顔で喜んだ。奏美は体全体で感情を表現するのだ。
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