第一章 孫悟空との遭遇

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アリサが話題を変えるために口を開く。 「お兄ちゃん。一つ聞きたいことがあるんだけど」 「なんだよ?」 慣れた手つきで法衣を着ていくロラン。 トンズラは早いほうがいいだろう。 「どこか行くの?」 「あー…………。えっとだな…………」 ロランは首を鳴らしながら、 「仕事だ、仕事。法師様は忙しいもんなんだぜ」 「うそ」 速攻で見抜かれてしまった。 「は、ははは……なんで愛する妹に嘘をだな―――」 「お兄ちゃん、うそつく時、首を鳴らすもん」 「マジかよ!?」 「うそ」 …………、見事に騙されました。 「お兄ちゃんは悲しいよ。アリサが嘘をつく女の子に育つなんてさ」 「あっそ」 「妹が素っ気なさすぎる」 「で? どこに行くの?」 行き先か、とロランは呟いた。 『救世巡礼』が『西遊記』をベースにしているなら、最終目的地は――― 「―――天竺だな」 「天竺? そんな所に何しに行くの?」 「世界でも救いに」 「ふぅん」 「素っ気なさすぎる返事をありがとう」 着替え終わったロランは軽い調子で呟き、何気ない動作で壁に立て掛けてあった黒光りする刀を掴み(平気で刃物を所持するのも不良法師だからか) 「じゃあ一ヶ月くらい家をあけるが、頑張れよっ」 このくらい軽いノリで行けば、冗談だと思ってくれる。 一ヶ月はいなくなることは伝えているし、仕事だと思ってくれるかもしれない。 ―――なんて考えは甘すぎた。 「私も行くっ」 「ちくしょう! やっぱこうなったか!!」
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