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「お兄ちゃん! 私を置いていこうったってそうはイカないんだから!!」
物凄い勢いで腰に張り付くアリサ。
あーこりゃー説得に時間かかるなー、と。
投げやり気味に考えていると、新たな声が響いた。
「アリサちゃん。ロランくんも困っているみたいだから、そんなワガママを言っちゃ駄目だよ」
開けっぱなしだった扉から成熟した女性が顔を覗かせていた。
「玉龍さんっ」
アリサがロランをそこらに放り投げながら嬉しそうに言う。
それだけで終わらず、勢いよく玉龍へと抱きついていた。
一方、地面にぶん投げられたロランは抱き合う彼女らを眺めながら、
「妹を盗られた…………っっ!?」
「人聞きの悪いことを言うわね」
玉龍は柔和に微笑み、
「ロランくん。なにか用事があるのでしょう。でもアリサちゃんがついていくと駄々をこねてて困っていると。違う?」
「そうですね。大体そんな所です」
どこまで話を聞かれたかは不明だが世界を救う云々を聞いていたとしても冗談と思ってくれるだろう。
「しっかし、各地で仏教の布教をしている玉龍さんがどうしてここに?」
「休みを強制的に頂いてね。良い機会だと思ってここに来てみたの。お邪魔でした?」
「まさか。むしろ好都合ですよ」
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