序章 滅亡へのカウントダウン

4/6
前へ
/32ページ
次へ
異世界人の襲来は大陸統一による平和をもたらした。 異世界人の襲来は技術の異様な進歩をもたらした。 異世界人の襲来は全体的な『幸福』をもたらした。 しかし、もたらされたのは『幸福』だけではなかった。 医療技術の急激な進歩や工場の乱立によって大気汚染やら平均寿命の上昇による人口増加、食料不足等の社会問題が発生。 加えて、謎の『異常現象』が各地で発生した。 『闇』がすべてを消滅させるという異常現象が。 「できれば良い返事を頂きたいものなんですがネ」 イリーヤはそう言った。 まるで無駄な抵抗はやめろと言うように。 (チッ。俺の答えは決まってるとでも言いたいのかね) 『救世巡礼』は『西遊記』をベースに世界を救う方法らしい。 そのためのキーは四つ。 先天的に『三蔵法師』『孫悟空』『沙悟浄』『猪八戒』という性質を宿した人間。 これらのキーを揃え、『巡礼』を行い、『仏』を現世に引きずり出すこと。 それ以外に世界の滅亡を防ぐ方法は存在しない。 「…………、」 緩やかな滅びを受け入れるか、『巡礼』を行うか。 ロランが選ぶほうは決まっていた。 生きたいならば。 誰かを護りたいならば。 これ以上の悲劇を防ぎたいならば。 どちらを選べばいいかなど決まっていた。 「チッ。異世界人に利用されるのは嫌いなんだがな」 心底嫌そうに。 心底不満そうに。 心底面倒そうに。 ロランは答えを示す。 「やってやるよ。やればいいんだろ! 俺が世界を救ってやるよ、くそったれが!!」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加