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思い浮かべるは三歳下の妹のこと。
(あいつも一三歳なんだ。一人でだって一ヶ月くらい生きていけるだろうし、村の皆に事情を説明すれば、なにかと気にかけてくれるだろうが…………)
問題は。
懸念すべき点は。
(あいつ、変に強がる割には寂しがり屋だからなぁ。一ヶ月も家をあけて大丈夫かなぁ)
「お兄ちゃん」
(ったく。両親がお偉いさんだからって家に帰ってこないせいでアリサが一人になっちまうじゃねえか)
「ねえ、ねえったら!」
(言い訳でも考えたほうがいいか? それとも速攻で終わらせる方法を考えたほうがいいか?)
「無視なの? 無視しちゃってるの?」
(でもなー。俺の言い訳、アリサに通用しねーしなー。どーすっかねー?)
「お兄ちゃぁぁぁぁぁーーん!!!」
ビクッ!! と。
ロランの肩が跳ね上がった。
驚きで心臓がバックンバックンな彼へ後ろから女が叫ぶ。
「私を無視するなんて、どーゆーつもりな・の・か・な!?」
ギチギチギチ、と。
壊れかけの機械みたいに振り返るロラン。
そこにアリサが仁王立ちしていた。
ふんわりとした黒髪。
手入れなんてまったくしていないロランと違い、日頃から努力している彼女の髪は綺麗な光沢を放っている。
可愛らしい顔を不機嫌そうに膨らませたアリサは薄紅の瞳でロランを見据えて、
「返事がないんだけど?」
「愛してるぜマイシスター!!」
ドスンッ!! と。
蹴りが腹に叩き込まれた。
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