だらだら..と始まる物語

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商人である他人さんが、私を連れて行った理由はこれでいいとして。 私がなぜ日記を書いているのか?疑問があると思う。300年も生きてるから今更書く必要はないだろ?と思うかもしれない。 私は当初、日記なんていらないだろうと思っていた。死なないし衰えないのだからいらんだろと。 だから今の今まで忘れていたのだ。日記という存在さえも。 「んー・・確かこうだったかな」 そう言いながら私は筆をとる。 私がなぜ今になって日記を書き始めたか?何度も言うが必要性はなかった。 その理由は、他人さんと初めて会話らしい会話をしたからだ。 もちろん10年しか旅をしていないというのも関係があるし、他人さんと表記していたり、他人さんや私について明言していないのも関係がある。 これについては書くことはないけど、一言。本当に一言だけを思い出したのだ。 「クロ。日記を書いてくれ」 クロは私の名前だったと思う。髪も目も服も黒いからって他人さんが付けた名前。 その時の私は正直にこう思った。 「素直な人」 これが皮肉にも旅を初めてからの私と他人さんによる最初で最期の会話となった。 つまり他人さんが死んだのだ。
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